薬剤部

Pharmaceutical department

薬剤部

薬剤部の理念

医療の担い手としての自覚を持ち、医薬品に関する知識の習得に努め、安全で効果的な医薬品使用に努める

 薬剤部の理念は「医療の担い手としての自覚を持ち、医薬品に関する知識の習得に努め、安全で効果的な医薬品使用に努める」です。これは、病院の理念「親切で誠実な医療を提供する」「職員同士良いチームワークを図る」「医療の質の向上を目指す」から落とし込まれています。病院の基本方針である地域医療への貢献について、薬剤部としても、近隣の保険薬局と連携をとり地域における安心・安全な薬物療法の推進を目標に掲げています。

薬剤部の目標

  1. 薬機法改正を踏まえ、継続的かつ的確な薬学的管理と患者などへの情報提供・指導を行い、安全・安心な薬物療法を提供する
  2. ジェネラリストである薬剤師の使命感を持ち、自己研鑽に励みスペシャリストを目指す
  3. 多職種との情報共有・連携・協働を強化し、医薬品安全の中心的役割を担う
  4. 新人薬剤師の継続した教育を実現するために、オーディットを導入し、薬物療法の質向上を目指す
  5. 患者支援センターに薬剤師が介入し、入院・外来患者の様々な薬物療法のニーズに応える体制を構築する
  6. 地域の薬剤師と連携を図り、切れ目ない薬物管理を提供する
  7. 診療報酬改定に対応し、様々な領域へ参画する
  8. 薬剤師としての資質と専門性の向上に努めるとともに、臨床研究を積極的に行い医療薬学の発展に貢献する

薬剤部概要

薬剤部は、調剤室、注射室、臨床薬剤室、DI室の4つのセクションにわかれ、互いに連携・協働しながら、良質な薬物療法の提供を目指しています。薬剤師24人、事務員1人が在籍し、20代から30代前半がおよそ7割を占める比較的若い組織であります。
私たちは、チーム医療に積極的に取り組んでいます。病院内には、感染制御チーム、抗菌薬適正使用支援チーム、緩和ケアチーム、栄養サポートチーム、褥瘡対策チーム、心不全チームなどがあり、薬剤師もメンバーとして参加し、様々な領域で薬物療法の質向上に寄与しています。また院内チームとは別に薬剤部独自の医療チームを設立しました。がんチーム、感染チーム、糖尿病チーム、栄養チーム、災害医療チームを結成し、専門資格を有する薬剤師がリーダーとなり、ミドルから中堅・若手薬剤師が所属、4人程度で構成されています。各領域について適正使用を推進し、医師や病棟薬剤師から相談を受けたり、積極的に介入したりしています。また、薬剤部全体の基礎力向上を目指し、症例検討、臨床支援ツール作成なども取り組んでいます。このような活動を通じて若手・新人薬剤師には、早期から興味ある領域の経験を積んでもらいキャリア形成にも繋げていきたいと考えています。


実績(2022年 月平均)
処方せん(入院)2,851 枚 (外来院内)291 枚
注射処方せん(入院定時)2,787 枚
無菌調製427 件
抗がん剤調製117 件
薬剤管理指導1,082 件
退院時薬剤情報管理指導441 件
ポリファーマシー対策(薬剤総合評価調整)25 件(薬剤調整)10 件
外来化学療法室指導96 件
薬剤師外来19 件
周術期薬剤管理指導44 件
その他関連している診療報酬入院基本料に係る褥瘡対策の基準、緩和ケア診療加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算1、患者サポート体制充実加算、後発医薬品使用体制加算、病棟薬剤業務実施加算、入退院支援加算、二次性骨折予防継続管理料、外来腫瘍化学療法診療料、外来化学療法加算、がん患者指導管理料ハ、外来緩和ケア管理料など

薬剤部の組織運営

 薬剤部の目標管理や組織運営には、ファーマシーマネジメントに有用とされているバランスト・スコアカード(BSC)を活用しています。このツールやフレームワークを用いることでマネジメントの質向上を目指しています。

薬剤師キャリアアッププラン

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メッセージ

 私たちは、患者さんに寄り添い、外来から入院そして在宅まで、チーム医療を通じて安心安全な薬物療法を提供することで患者さんの笑顔に繋げるという思いで日々業務に励んでいます。「患者さんの笑顔のために」薬剤師としてだけではなく、人として患者さんと関わり、患者さんの日常を共に大切にすることが重要です。ジェネラリストの自覚を持ち、スペシャリストを目指しながら、 人としても成長できる、そんな薬剤部を目指しています。

専門・認定薬剤師取得状況

<2024年2月時点>
認定機構・学会・団体名専門・認定資格名称取得者数
日本病院薬剤師会がん薬物療法認定薬剤師1名
病院薬学認定薬剤師3名
認定指導薬剤師2名
日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師2名
研修認定薬剤師6名
糖尿病療養指導士認定機構日本糖尿病療養指導士2名
日本災害医療薬剤師学会災害医療支援薬剤師1名
日本アンチドーピング機構公認スポーツファーマシスト2名
JPTEC協議会JPTECプロバイダー1名

調剤(内服・外用)

医師が発行した処方箋に基づいて、入院患者さんの薬の調剤を行っています。当院では電子カルテに連動させた調剤支援システムを導入し、薬の内容・用法・用量・剤形・飲み合わせ・飲み方・重複投与などの確認を行っています。また、調剤過誤を起こすことがないよう、様々な調剤機器やエラー対策を講じて業務に臨んでいます。
疑問点や問題点がある場合は必ず医師に問い合わせを行い、医薬品安全推進にも寄与しています。
調剤
調剤

調剤(注射)

入院患者さんに処方された注射薬を、個別にセットし病棟へ供給します。薬剤師は投与量・投与経路・投与速度・配合変化などの確認を行っています。患者さんの名前と薬品名等が認証できるバーコードが印字されたラベルを薬毎に貼付し、投与時にもバーコード認証を行うことで人為的なミスを防止しています。また、調剤支援システムを内服薬・注射薬で統一することで、異なる投与経路の処方間でも併用禁忌や重複投与の検出を可能とし、安全性の向上を図っています。
注射業務

高カロリー輸液調製

高カロリー輸液は、口から十分な栄養が摂れない患者さんに対し、点滴によって必要量の栄養や電解質、薬剤を補給するための輸液です。必要な栄養素が揃っているか、混合による配合変化がないか、投与速度が適切かなどを確認した上で、クリーンベンチを用いて混合する作業を行います。
高カロリー輸液は患者さんの体の中にカテーテルと呼ばれる管を留置して投与するため、無菌的に調製する必要があります。特に複数の注射薬を混合する場合には細菌・異物が混入しないよう細心の注意を払って業務にあたっています。

抗がん薬調剤・調製

抗がん薬治療は、院内で承認されたレジメンに基づいて行われています。薬剤部ではレジメンの検討とともに、日々の抗がん薬処方の監査を行い、患者さん毎の体重や検査値などのデータから薬の用量、投与スケジュール、組み合わせなどが正しいかを確認しています。
治療当日は、医師が投与実施を判断してから、薬剤師が安全キャビネット内で無菌的に調製しています。患者さん及び付き添いの方、医療従事者に抗がん薬の曝露が起こらないように、閉鎖式接続器具という特殊な器具を用いて曝露対策にも努めています。
レジメン:投与する薬剤の種類、量、スケジュール、順序などを時系列で示した計画書

院内製剤調製

院内製剤とは、薬剤師が院内で調製している治療・診断に必要な薬剤のことです。これらは安定性や経済性の観点から国内で製造・販売されていませんが、患者さんおひとりおひとりの病態やニーズに対応するために調製しています。当院では安全性や有効性などの検討を行った上で病院独自の院内製剤を多種類用意しており、医師の依頼・処方に合わせて適切に調製を行っています。
製剤業務

薬剤管理指導

病棟担当薬剤師は、診療時間内は病棟に常駐し、入院患者さんの安心・安全な薬物療法の推進、医薬品の適正使用の支援・管理に貢献しています。入院時は、ご家庭で使用していた薬を確認し、管理状況や副作用歴などを聴取します。入院中は、処方された薬の説明や、治療効果・副作用の有無・服薬状況の確認を行い、必要に応じて薬の内容や剤形の変更、一包化などの提案をします。退院後も患者さんが薬物療法を継続できるよう、退院時には薬に関する疑問や不安が解決する説明を心掛けています。このように患者さんが入院されてから退院されるまで、医師や看護師など多職種と協働してすべての薬物治療に携わり、患者さんおひとりおひとりに合わせた最適な薬物治療の推進に取り組んでいます。

薬剤師外来

当院の薬剤師外来では、抗がん薬治療を行う患者さん・自己注射薬を導入される患者さん・オピオイドを使用される患者さんへの服薬指導、COPDや気管支喘息の患者さんへの吸入薬のフォローアップ、小児患者さんへの吸入補助器具のご案内などを行っています。また相談内容に応じて、保険薬局薬剤師、外来看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなどの様々な職種のスタッフと協働しています。患者様のライフスタイルに配慮し、おひとりおひとりに合った服薬指導や関わりを通じて、患者さんが安心して治療に臨めるようサポートしています。

外来化学療法室

外来で抗がん薬治療を行う化学療法室には薬剤師が常駐しており、使用する薬の説明や投与スケジュール、副作用とその対策などを説明しています。副作用の状況だけでなく不安や疑問を聴取し、医師への処方提案や生活上のアドバイスも行います。
医師の診察前に薬剤師による面談を行うことで、必要な情報を医師・看護師と共有することができ、適切な抗がん薬治療に貢献しています。
患者さんとご家族が、抗がん薬治療を継続しながら、ご自宅でよりよい生活を送れるよう、スタッフ一丸となって支援します。

医薬品情報管理業務

日々開発、更新される厚生労働省・医薬品メーカー・国内外の研究発表などの情報を収集・評価・整理・保管しています。これらの情報をわかりやすくまとめ、常に新しい情報を職員に向けて提供し、共有しています。また、医薬品に関する質問への迅速な対応、当院で処方した薬が原因と疑われる副作用情報の収集と報告、電子カルテシステムの医薬品に関連したマスタの管理など、医薬品情報の中心的な役割を担っています。
医薬品情報管理業務

医薬品の供給・管理

院内で使用される医薬品は、調剤支援システムと連動させた専用のシステムを用い、購入・納品・供給を行っています。在庫状況をすべてコンピューター管理することできめ細かい在庫管理及び効率化が可能となり、院内における過不足のない医薬品供給と品質管理を行っています。

チーム医療

院内の各医療チームは、多職種がそれぞれの専門領域の職能を発揮し、協働して患者さんの治療に臨んでいます。
薬剤師はチームの一員として定期的な多職種カンファレンスに参加し、患者さんの症状や治療計画を薬学的視点からアセスメントします。薬物療法に関する提案や医薬品情報の提供、薬学的な相談応需、病棟担当薬剤師への連携を行っています。専門性を高めるために日々研鑽を積み、チーム医療に積極的に参画、質の高い薬物治療に貢献しています。


(1)院内感染対策チーム:Infection Control Team (ICT)

病院内の感染対策を担う実働チームとして、院内に関わるすべての人を様々な感染から守るために活動しています。
薬剤師も院内ラウンドに同行し、感染対策の状況把握や指導を行っています。また、委員会での報告や地域の医療機関とのカンファレンスなどに参加しています。


(2)抗菌薬適正使用支援チーム:Amtimicrobial Stewardship Team (AST)

抗菌薬の不適切な使用は薬剤耐性菌を発生・蔓延させる原因となるため、抗菌薬の選択や検査などを検討し適正使用の支援をします。薬剤師は、特に広域抗菌薬の使用状況のモニタリングや、主治医からの相談に対する評価やフィードバックを行っています。


(3)緩和ケアチーム

緩和ケアは患者さんとご家族の病気や治療に伴う様々な苦痛をやわらげ、心のケアも支援する医療です。薬剤師は、患者さんおひとりおひとりに合わせた鎮痛薬や補助薬の提案、投与量の調節、副作用が生じた場合の対応などを行い、よりよい生活が送れるようにサポートします。


(4) 心不全チーム

循環器内科にご入院された虚血性心疾患や心不全の患者さんに対し再入院抑止を目的として、効果的で安全な薬物療法の実践を支援しています。薬剤師は循環器疾患で使用される薬剤について服用する目的や正しい服用方法、服用中の注意点など退院後も安心してお薬の服用を継続していただけるように薬に関する様々な情報を提供しています。


(5)栄養サポートチーム:Nutrition Support Team(NST)

栄養状態を改善することで、治療効果の向上・合併症の予防・生活の質(QOL)向上へ寄与することを目的に活動しています。病態に応じた経腸栄養や経静脈栄養の処方提案などを行っています。


(6)糖尿病チーム、透析予防診療チーム

高血糖状態が続くと腎機能が低下して透析が必要になったり、様々な合併症が起こったりします。当院にはCDEJ(日本糖尿病療養指導士)が在籍しており、教育入院や服薬指導を通して糖尿病治療に関わっています。罹病機関や合併症の程度、性格、社会環境、家族環境など、それぞれが異なる患者さんひとりひとりにあった支援をしています。

服薬情報提供書(トレーシングレポート)について

保険薬局の皆さまには、平素より疑義のある処方について処方医師に対して疑義照会を行うなど、安全な薬物療法の遂行にご協力いただき、誠にありがとうございます。保険薬局で患者さんから聴取したアドヒアランスや副作用等に関する情報のうち、緊急性は低いものの情報提供したほうが望ましいと判断された内容をFAX送信してください。提供された情報は担当薬剤師が集約し、医師にフィードバックして情報共有を図るとともに、今後の治療へ繋げていきます。

服薬情報提供書(トレーシングレポート)Word
服薬情報提供書(トレーシングレポート)PDF

送付先FAX番号 03-3683-4919
社会医療法人社団順江会江東病院 薬剤部

連携充実加算について

がん薬物療法に関する情報提供

当院では、外来化学療法室でがん薬物療法をうける患者さんに連携充実加算を算定しています。特定薬剤管理指導加算2に係る当院への情報提供は、当院専用のがん薬物療法情報提供書(トレーシングレポート)のうち下記のいずれかをダウンロードしご使用ください。

がん服薬情報提供書(トレーシングレポート)【当院作成】Word
がん服薬情報提供書(トレーシングレポート)【当院作成】PDF
がん服薬情報提供書(トレーシングレポート)【都薬】Word
がん服薬情報提供書(トレーシングレポート)【都薬】PDF

送付先FAX番号 03-3683-4919
社会医療法人社団順江会江東病院 薬剤部



がん化学療法レジメン情報

注意事項
当院のがん化学療法レジメン情報は、その内容を保険薬局薬剤師が処方内容の確認や服薬指導管理等で利用するために公開するものです。このレジメン情報は連携充実加算の規定に準じた情報公開であり、目的外の使用、転載、引用等は禁止いたします。レジメン内容は正確性について万全を期しておりますが、安全性・正確性を保証するものではありません。万一、内容に誤りがあり、その利用により生じたあらゆる損害について、責任は一切負わないものとします。また内容は予告なしに変更または削除することがあります。

投与量・スケジュールは患者さんの状態や経過によって変更となる場合がありますのでご注意ください。

がん化学療法レジメン一覧PDF

疑義照会について

院外処方せん・レジメンに関する疑義照会は下記の通りお問い合わせください。

  1. 診療時間内(平日:9:00~17:00 土曜日:9:00~13:00)の疑義照会
  2. 直接代表番号(03-3685-2166)にお電話ください。
    最初に電話交換手が応対しますので、保険については「医事課」、薬の内容については「診療科」につなぐようお伝えください。
    なお、処方医師が救急対応時などで回答に時間がかかる場合もあることをご了承ください。
    また、処方せん発行日以外の問い合わせは、処方医師不在などにより翌日以降の回答になることもございます。

  3. 診療時間外(17:00~翌8:30)、休診日の疑義照会
  4. 直接代表番号(03-3685-2166)にお電話ください。
    最初に守衛室または医事課の者が応対しますので、保険については「医事課」、薬の内容については「当直看護師」につなぐようお伝えください。
    なお、診療時間外になりますので、処方医師不在などにより翌日以降の回答になることもございます。

お問い合わせ先
社会医療法人社団順江会江東病院 薬剤部
Tel:03-3685-2166(代表)
平日 9:00~17:30
土曜日 8:30~13:00
(病院診療日に準ずる)